豊かな心と明日への希望が織りなす
美しいまち宇都宮の創造
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地方創生の ロールモデルとなる 全国大会の実現 |
明日への活力創出と 輝く宮っこの 育成による豊かな 心溢れる未来の創造 |
伝統の継承と SDGsの視点が生み出す 持続可能なまちの 実現 |
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全国に誇れるまちの 魅力を活かした 希望溢れるまちの実現 |
まちの発展を 担う同志の発掘と 会員開発による 組織基盤の強化 |
出向での経験と 人的ネットワークを 活かした個人の成長と 組織力の強化 |
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セルフガバナンスに 基づいた公益性と 透明性の高い秩序ある 組織運営 |
公益社団法人宇都宮青年会議所2021年度理事長所信
第55代理事長 山田 修嗣
社会が大きく変容する時、人々に求められるのは適応する力です。本質を守りつつ、積
極的に変化に適応し、豊かな心と明日への希望が織りなす美しい未来を、共に描いていこ
うではありませんか。
-はじめに-
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」かつて一億総中流社会と言われ、世界から羨望の眼
差しを集めてきた日本。多くの国民が豊かな生活を送っていました。しかし、現代は「格
差社会」と呼ばれ、収入の格差、医療の格差、教育の格差、多くの格差が顕在化していま
す。我々の住み暮らす宇都宮も例外ではありません。そして、格差社会で最も恐ろしいの
は、利己主義が蔓延し、日本人が大切にしてきた「和の心」が失われつつあることです。
いつの間にか人々の心までもが蝕まれています。
私の願うところは、全ての人々が幸せに暮らせる社会です。全ての人々が活気に満ち、
希望に溢れた人生を送って欲しいと心から願っています。先が見通せない時代だからこそ、
明るく、正しく、仲良く、共に手を取り合って前向きに生きていける社会を、我々JAY
CEEが率先して築いていかなければならないのです。
-青年会議所の使命-
この世の中において、青年会議所は何ができるのでしょうか。人口減少・社会保障問題
をはじめ、新型コロナウイルスの蔓延に端を発した経済問題等、社会課題が山積していま
す。1949年9月3日、敗戦後の混乱が続く我が国において、日本経済の正しき発展と
世界平和の実現に向け、戦後復興を成し遂げる想いで日本最初の青年会議所(東京青年会
議所の前身東京青年商工会議所)が設立されました。その設立趣意書に「新日本の再建は
我々青年の仕事である」と記されています。国を想い、自らの意思で立ち上がった青年た
ちがいたのです。
それから70年以上が経ち、現在は戦後の焼け野原とは状況が異なるものの、社会が危
機的状況に陥っている今、我々に必要なことは、英知と勇気と情熱を持って青年らしく行
動し、我々自身がまちの希望となり、未来を切り拓いていくことに変わりはありません。
いつの時代でも、未来を描き、仲間を集め、自分たちの可能性を信じて率先して行動を起
こしていくのは我々青年なのです。
-第70回全国大会とちぎ宇都宮大会-
本年、いよいよ日本青年会議所が主催する全国大会が宇都宮で開催される時が来ます。
過去の歴史の中で、初めて栃木県で開催される大会となります。全国から1万人を超える
JCメンバーがこの地に集い、宇都宮から全国に向けて日本青年会議所の運動が発信され
ることを想像してみてください。想像する以上に大きく、重みのある大会です。開催まで
には大きな困難も伴うでしょう。しかし、これほど可能性溢れる機会に恵まれることは二
度と無いと言っても過言ではありません。間違いなく、我々にとって大きな成長と学びを
得られる機会となるでしょう。
ここで忘れてはならないのは、全国大会の主管を獲得するまでに先輩方や他LOMの同
志、行政・関係諸団体をはじめとする多くの方々の努力があったことです。感謝の心を持
って、宇都宮青年会議所はもとより栃木ブロック内全メンバーの力を結集して綿密に計画
準備を行い、大会を大成功に導きましょう。
我々は、主管青年会議所として、全国から参加するJCメンバーをおもてなしの心を持
って迎え入れるとともに、千載一遇のこの機会にとちぎ宇都宮の魅力と、「共生の精神」に
基づく持続可能なまちづくりを発信していきましょう。さらに、市民、行政、参画する全
ての人々の心を動かし、地域にインパクトを与える大会を構築していこうではありません
か。
-不易流行-
「地域社会をよりよき福祉社会に」「より明るい豊かな社会」にするためには何のためら
いもなく貢献したいものであります。この志のもとに宇都宮青年会議所が設立され、本年
で創立55周年を迎えます。我々がこの世に生を受ける前から、まちの未来を考え、能動
的に行動を起こしてきた先達がいました。
節目を迎える今だからこそ、松尾芭蕉の「不易流行」という言葉が意味するように、時
代が変わっても、変えてはいけないこと、変わらないことをしっかりと意識し、そして時
代に応じて変えなければならないことは積極的に変化させていきましょう。この姿勢こそ
青年会議所が持つ組織の使命です。先達が築いてきたこれまでの歴史に感謝の念と誇りを
抱き、「不易流行」を胸に力強く進んでいきましょう。
-豊かな心を求めて-
新型コロナウイルスによる不安やストレスが、人々の心を蝕んでいます。罹患者への誹
謗中傷や差別など、心を痛めるニュースが後を絶ちません。また、ニュースで取り上げら
れる内容も新型コロナウイルス関連のものが多く、社会に閉塞感が漂っています。
このような時だからこそ、明るく前向きに生活できる、明日への活力を生む機会の創出
が必要です。新型コロナウイルスの世界的流行の影響により、本年に開催が延期された東
京オリンピック・パラリンピックに向けて、困難な状況下においても多くのアスリートが
日々トレーニングに励んでいます。ピンチをチャンスに変え、高い目標と夢に向かって努
力している人から、志を持って生きていくことの大切さを学び、豊かな心を育みましょう。
また、核家族化や共働き世帯の増加、地域コミュニティの衰退など、子供たちを取り巻
く環境が変化するなか、親も「親としてのあり方」について学ぶ機会が減ってきているの
ではないでしょうか。親が親としてのあり方を学び、「子供を育てる」のではなく、「子供
と一緒に親も育とう」という一緒に育つ考え方にふれ、親も子供も成長できる機会を創り
ましょう。子育てをする親の心に寄り添い、豊な心を育むことができれば、より暮らしや
すい社会の構築に貢献することができるのではないでしょうか。
-国家100年の計は教育にあり-
「子に過ぎたる宝なし」という言葉があるように、子供はかけがえの無い宝です。その
子供たちがやがて親の手を離れ、一人ひとりが社会に貢献する人材として、国や地域を支
える原動力となるためには、優れた教育を受ける必要があります。少子社会の現代だから
こそ、今まで以上に子供たちへの教育について考えることが重要です。教育基本法第1条
には、教育の目的として、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の
形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければなら
ない」と規定されています。この「人格の完成」の基盤となるのが道徳教育です。
そこで、日本古来の武道である相撲を通して、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重
する態度を養いましょう。心を耕すことで、自信を持って生きていくための力を身につけ
ることができ、心身の健やかな成長が子供たちを輝かせていくのです。
-市民から求められるもの-
宇都宮青年会議所が行ってきた事業で最も規模が大きく、そして45年もの間実施され
てきたふるさと宮まつり。宇都宮青年会議所創立10周年の記念事業として、当初は1回
限りの事業として開催されました。しかし、第1回の開催が成功を収めたことで、翌年以
降も市民からの開催を望む声によって今日まで毎年開催され、今では市民から求められる、
夏の風物詩として定着しています。
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、オンラインで参加する「ふるさ
と“おうちで”宮まつり」として開催されました。本年は、新型コロナウイルスの影響を
見極めつつ、運営方法を良く検討し、参加者の安心と安全を担保した上で、大通りで実施
するふるさと宮まつりを実現させましょう。
まつりづくりはまちづくりであり、宮まつりを通して人と人との心を紡ぎ、地域の人々
にとってかけがえのない、出会いとふれあいの場を創出していきましょう。
-強い宇都宮の構築-
宇都宮市のSDGs達成に向けた取り組みの提案が、経済・社会・環境の三側面におけ
る新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルの高い都市として評価
され、2019年に国から「SDGs未来都市」に選定されました。SDGsをまちづく
りに活用することで、まちが取り組むべき課題が明確になるとともに、従来のまちの魅力
とシナジー効果を発揮し、強い地域性の構築につながります。さらに、SDGsという共
通言語によって、企業や各種団体との政策目標の共有や連携促進、パートナーシップの強
化が期待できます。
宇都宮青年会議所は、SDGsを推進する団体として、宇都宮市のSDGsへの今後の
方針や展望を理解したうえで、民間事業者が多く集う青年会議所としての特性を活かして
市と協働での推進方法を模索し、より波及力のあるSDGsの浸透につなげていきましょ
う。
また、SDGs17の目標の11に「住み続けられるまちづくり」、13に「気候変動に
具体的な対策を」があります。近年では、数十年に一度と言われる大雨が全国各地で毎年
降るなど、地球温暖化に起因する自然災害が増加しています。宇都宮市でも、2019年
10月に台風19号によって記録的な大雨が降り、市内を流れる姿川・田川が氾濫し、多
くの家屋や自動車、農作物が被害に遭いました。
栃木県は、自治体ごとに、洪水浸水想定区域図を作成していますが、一体どれだけの市
民が、災害が発生した際に適切に避難できるのでしょうか。もし家族と連絡が取れない時、
各々の判断で行動に移すことができるのでしょうか。災害時の避難場所、避難経路の把握
はもちろんのこと、家族単位・地域単位で日頃から防災・減災意識を高めていくことが必
要です。一人ひとりの防災・減災に対する意識が高まることで、災害が起きた際の復旧が
早まり、住み続けられる強い地域として成り立っていくことができると考えます。
-全国に発信できるまちの魅力-
宇都宮市は、餃子、カクテル、いちご、ジャズ、大谷石、自転車など、全国に発信でき
る魅力や、LRTを中心としたネットワーク型コンパクトシティの取り組み等、多くの個
性と可能性を有しています。しかし、市民が誇りを持って魅力だと感じていなければ、折
角の魅力も発信力を持つことができません。特に、日本遺産に認定された大谷石文化や、
日本初の地域密着型プロサイクルロードレースチームが活動拠点を置く自転車は、宇都宮
の魅力としてさらに高めることができる可能性を有しています。全国大会の主管を契機と
し、今一度、全国に発信できる魅力を市民、我々が学ぶとともに、発信できる魅力として
体感する必要があります。
全国大会とちぎ宇都宮大会の構築にあたり、宇都宮青年会議所は「共生の精神」に基づ
く持続可能なまちづくりの姿を、地方創生のロールモデルとして発信していきます。その
ためにも、まちの魅力を活かした記念事業を実施し、我々が掲げる理念を市民に伝播する
とともに、全国大会に向けて機運を高める機会にしていきましょう。
-リーダーシップの開発-
青年会議所の役割の一つとしてリーダーシップの開発が挙げられます。地域を牽引し、
市民を巻き込んだ事業を展開していくためには、会員一人ひとりが高いリーダーシップを
持ち合わせていなければなりません。しかし、最初から人を巻き込みコーディネートする
力を持ち合わせ、人を惹きつける話をできる人は少数です。そこで、日本青年会議所が持
つ体系化されたプログラムを利用しつつ、リーダーシップを高めるためのエッセンスを体
得しましょう。組織に占めるアカデミー会員の割合が高まっている今こそ、基礎的な知識
の習得と会員の能力開発を推し進める必要があります。
また、青年会議所には3分間スピーチというトレーニング手法があります。リーダーと
して、限られた時間を使って人前で自分の考えを整理して話すことは大切な要素です。会
員開発の一環として、人前でスピーチする機会をより多く提供していきましょう。
-持続可能な組織づくり-
宇都宮青年会議所に脈々と受け継がれてきた会員拡大。会員が在籍できる年齢が40歳
までと上限が決まっている組織であることから、積極的に会員を拡大しなければ、自ずと
会員が減っていってしまいます。JC運動の灯火は、受け継ぐ人がいなければやがて消え
てしまいます。全国を見渡してみると、近年、LOM数と会員数が右肩下がりで減少して
いる現状があります。
青年会議所は、会員が拠出した資金を中心として運営し、まちづくりと人づくりに実践
的に取り組む唯一無二の団体です。崇高な理念を持ち、今日まで存続してきた宇都宮青年
会議所を未来永劫、維持発展させていかなければなりません。青年に発展と成長を促す機
会を絶やしてはならないのです。
我々自身、青年会議所に入って様々な側面から、多くの学びや気付きを得たと思います。
沢山の友人もできたことでしょう。より良い地域を、より良い人を創っていくためにも、
その経験を会員一人ひとりが次の世代に紡いでいく気持ちを強く持って、組織一丸となっ
て会員拡大に取り組んでいきましょう。
また、積極的に入会したくなるような雰囲気づくりや組織運営も大切です。会員間で新
入会員の情報を共有し、入会者が望んでいる機会を提供できるように、受け入れる側の環
境を整えていきましょう。
-自己成長の機会-
青年会議所には、出向という優れた人材育成システムがあります。国際青年会議所、日
本青年会議所本会、関東地区協議会、栃木ブロック協議会、多くのフィールドが用意され
ています。出向では、他LOMの会員とチームを組み、事業や組織運営に臨むことで、L
OMだけでは得ることのできない経験を積むことができ、自分の視野を広げてくれます。
私自身もこれまでに何度も出向を経験しましたが、自分の心を動かす多くの人に出会い、
LOMでは経験することのできない事業や組織運営に携わり、貴重な成長の機会を享受し
てきました。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」まだ見ぬ世界に積極果敢に飛び込み、自己成長を手に
入れるとともに、LOMへ還元することで、組織力の強化につなげていきましょう。
-より良い運動を展開するための組織運営-
青年会議所の諸会議のスタートはセレモニーから始まります。これは、会議を始める前
に、我々が何を目指して会議をし、何のために事業を構築するのか、目的を参加者で共有
するためです。会議は厳粛で、緊張感の漂う雰囲気でなければなりません。なぜなら、真
剣に準備し、市民の心を動かす運動を創ろうとするならば、必然的にそのような雰囲気に
なるからです。
また、公益社団法人として、法令遵守のためのセルフガバナンス(自立的内部統治)が
強く求められています。会員一人ひとりが公益社団法人の会員であることを自覚した上で、
自分たち自身を律し、定款や諸規程に則った、透明性が高く規律正しい組織運営を行って
いきましょう。
-結びに-
2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催されました。私は偶然、日本対スコ
ットランドの試合をテレビで観戦していました。格上のスコットランドに対して、日本が
逆転勝ちを収めた試合でした。体格で劣る日本の選手達の直向きなプレーに感動しました。
そして、心に残ったのは、試合後に負けたスコットランドの選手何人もが、「こんな試合は
人生の中で一度あるかないか。純粋にラグビーが楽しかった。素晴らしい雰囲気だった。
またラグビーが好きになった。」と語っていたことです。お互いに本気でぶつかり、観客も
一体になったからこそ、得られた感情ではないでしょうか。
人は、表面的では無く、心の奥底から感動した時、己の考え方が変わります。行動が変
わります。我々JAYCEEは、率先して行動するリーダーとして、人々の心を動かす存
在でなければなりません。市民の琴線に触れ、心を動かし、明日への活力を生む運動を展
開していきましょう。そのためにも、まずは自分の心を変えていきましょう。自分が変わ
れば周りが変わります。己を見つめ直し、心を豊かにし、より良い社会を築いていこうで
はありませんか。